インドの染色技法を用いたリバーシブルのクッションカバー
インドの染色技法のなかで特に親しまれているのは木版染め=ブロックプリントではないでしょうか。これはその言葉通り、木の塊(ブロック)に模様となる柄を彫り込んで版を作り布の上に押し当てて模様染めする技法です。このブロックプリントの産地としてはラジャスタン州、グジャラート州が有名です。ラジャスタン州の州都ジャイプール近郊にはブロックプリントを専門にする村はいくつもあり、それぞれに技法や模様の特徴がありますが、版木には同じようにシーシャム(インドローズウッド・紫檀)やチーク材を使っています。版木は専門の彫り師によって作られていて、熟練の職人が作った版の線は50年もくっきりと使い続けることができるそうです。
ブロックプリントの魅力はこの版木製作に始まって、すべて手作業による手仕事ならではの味わいと自然とのデリケートな関係から生まれます。というのは染めの色合いが気温や湿度、日照時間によって微妙に変化するからです。ブロックプリントは色別に木版を作り、ハンコを押すように色を重ね幾度もの水洗いをし、その都度、太陽に乾かす必要があります。その作業は刻々と流れる時間のなかで自然の変化に合わせながら人間のたゆみない手作業で行われます。均一性や同一性に慣れた目には欠点と映るかもしれない微妙な差異は手仕事ならではの特性でもあり、紀元前からの歴史を持つ木版染めが今もなお私たちを魅了し続けているのは、この予測不可能な調和の美しさかもしれません。リバーシブル仕様なので1枚で2柄お楽しみいただけます。